臨床工学科 CLINICAL ENGINEERING

臨床工学科

臨床工学科の特色

臨床工学技士は『Clinical Engineer』とも呼ばれ、頭文字をとって『CE』と呼ばれます。
院内における医療機器の安全保守管理および、臨床技術提供を効率的かつ迅速に行っています。これにより、すべてのメディカルスタッフがチーム医療を円滑に行えるようにすること、結果として患者の安全を守り高度な医療を提供できることを目的に業務を行っています。
主に従事する業務として人工透析、人工呼吸器をはじめとした生体機能代行装置の管理や操作、ME機器の点検・管理、手術室の医療機器の操作や事前の管理、集中治療領域での生命維持管理装置の操作や管理などを行います。
当院の臨床工学科は平成21年に人工透析室から臨床工学科として発足しました。

臨床工学科の理念

当院臨床工学技士は、高度医療に伴い必要とされるME機器を安全に使用できるために、ひいてはより安全でより質の高い医療を提供できるために、必要な活動に積極的に取り組み、またその努力を惜しみません。

臨床工学科の方針

1.急性期および高次医療を展開する地域中核病院として、当院に求められる医療ニーズに応えていく努力を継続します。
2.安全・安心で効率的なチーム医療を展開するために、すべてのメディカルスタッフと緊密な連携を図ります。
3.医療専門職である臨床工学技士としての責任を全うしまた誇りを維持するために、院内外の教育・研修の機会に積極的に参加し、知識の向上に努めます。
4.医療機器の安全性・有効性・効率性を保持また向上させ、良質の医療を提供するために、医療機器を常時適切な使用条件に整備することに責任を持って関わります。
5.医療事故、機器故障を防ぎ、患者の安全を守るために、医療機器の取扱説明などのME教育を、積極的に自発性を持って実施します。

勤務体制

現在、臨床工学技士(以下CE)は常勤7名となっています。
勤務体制はローテーションで、大きく分けて人工透析業務、医療機器管理・ICU業務、手術室業務に従事しています。
夜間休日は拘束1名が担当するオンコール体制となっており、急性血液浄化やME機器トラブルなどの対応を行っています。
PCPS(ECMO)が稼動する際は定期的な点検と迅速なトラブル対応が行えるように、循環器内科医師の指示の下に日直当直体制を取っています。

業務の種類

人工透析

ベッド数:23床(内HDF対応:15床) 月水金AM、PM 2クール 火木土 AM1クール
 
AM
PM

急性期~維持期、他科入院をフォローしています。HD、OHDF、I-HDFを行っています。

4ヶ月に1回行う透析前後採血のデータを基に効率カンファレンスを行っており、医師、看護師、CEそれぞれの職種の観点から最適な透析条件を検討しています。

また、シャントエコーによるシャント管理や、穿刺困難に対してエコーガイド下穿刺も行っています。
人工透析室 治療中点検
人工透析室 治療中点検

腹膜透析効率算出

腹膜透析効率算出ソフトPD Adequestを用いて、腹膜機能や透析効率を算出、また個々の適切な処方により予測透析効率や、除水量、塩分摂取量など算出し、医師へ提言し連携をおこなっています。

シャントPTA

CEは清潔野でオペレーターの介助を行っており、物品の準備、受け渡し、インデフレーターの操作を行っています。
造影剤アレルギーの症例にはエコーガイド下で治療を行います。

医療機器管理

MEセンターでは輸液・シリンジポンプや低圧持続吸引器などのME機器を、管理ソフトを用いて中央管理しており、終業点検・定期点検・バーコードを利用した貸出返却管理を行っています。また人工呼吸器やハイフロー、IABP、PCPSなどの使用中点検も行っています。
ME機器トラブルや問い合わせの窓口でもあり、貸出機器に関しての相談や異常発生時の精査依頼、生体情報モニタなど部署配置機器の点検依頼にも対応しています。

MEセンター 中央管理機器の貸し出し・返却・点検
MEセンター 中央管理機器の貸し出し・返却・点検
人工呼吸器 終業点検
人工呼吸器 終業点検

血液浄化

急性血液浄化はCHDFを主としてCHF、CHD、PMX直列CHDFを行っており、病状に応じて出張HDも行っています。
他の血液浄化ではCART、GCAP、PEが多く実施されます。
夜間・休日の呼び出しで対応する業務の大半が急性血液浄化になります。

集中治療室での血液浄化
集中治療室での血液浄化

ペースメーカ業務

毎週木曜日にペースメーカ外来を行っており、CEは各社プログラマを用いてペースメーカチェックを行っています。ペースメーカの電池残量・リードの状態・作動状況・心不全診断補助機能のチェックを行っています。
内視鏡で電気的デバイスを使用する際や、放射線治療の際にペースメーカの設定変更やチェックが必要となる場合があるのでそちらの対応も行っています。
従来ペースメーカはMRI撮像が禁忌とされていましたが、条件付きで撮像可能なペースメーカが開発され現在では施設基準を満たした施設でのMRI撮像が可能となっています。当院はMRI撮像の施設基準を満たしており、ペースメーカ患者のMRI撮像にも対応しています。医師から撮像オーダがあればCEは事前チェックを行い、検査時は開始から終了まで立ち合っています。
ペースメーカ手術も当院で行っています。ペースメーカ植込み後は運動制限や影響のある電気製品等についての指導をCEが行っています。その際、積極的に遠隔モニタリングを導入するように入院時に患者様へ説明しており、毎月データ確認を行い異常があれば医師へ報告しています。
植込みデバイスに関連して、原因不明の失神精査を目的とした植込み型心電計の植込み・フォローも行っています。

ペースメーカ外来
ペースメーカ外来

手術室

専任1名配置になっています。電気メス・麻酔器・モニタなどの機器の保守点検、OP室ラウンド、手術器械や電気メスケーブル類の使用後点検を実施しトラブルを未然に防ぐように管理しています。
臨床支援ではペースメーカの新規植込みや電池交換の立ち合い、他科OPでの設定変更、レーザーOP中の機器操作を行っています。

手術室 電気メスの定期点検
手術室 電気メスの定期点検

NPPV

心不全病態に対してのASV、Ⅱ型呼吸不全に対してのNIP-V、閉塞性無呼吸症候群に対してのCPAPが該当します。
それら在宅呼吸器の導入、自立操作に向けての指導、入院時の設置確認や看護師への説明などを行っています。
CPAPは対象患者を選定したうえでペースメーカと同様に遠隔モニタリングを行い、毎月データ確認を行っています。

ラジオ波焼灼

医師が超音波エコーで観察しながら、がん組織に直径1.5ミリほどの電極を挿入し、周波数の比較的低いラジオ波を流して100度前後の熱で焼き、がん細胞を壊死させる治療法です。CEはラジオ波焼灼装置の操作を行っています。

臨床工学科主催の研修会

・輸液・シリンジポンプ
・低圧持続吸引器
・除細動器
・ペースメーカ
・IABP・PCPS

チーム医療

・心不全サポートチーム(CST)
・呼吸サポートチーム(RST)
・災害派遣医療チーム(DMAT)