放射線科 RADIOLOGY

放射線科 検査<MRI>

概要

MRIとはMagnetic Resonance Imagingの略で、日本語で表すと磁気共鳴画像となります。
強力な磁石の中に入ってもらい、ラジオ波と呼ばれる電波を身体に当てて、身体から返ってくる信号をコンピュータで解析することにより、画像化する検査です。放射線を用いない検査なので被ばくの心配はありません。
特徴としては、形態だけではなく機能診断が行なえること、他の検査に比べて病変部位が分りやすいことなどが挙げられます。
当院で現在稼働しているMRI装置は、2014年4月に導入されたSIEMENS社製「MAGNETOM SKYLA」3.0テスラです。テスラとは磁石の強さの単位で、3.0テスラのMRI装置は、現在臨床で用いられる装置の中では最も強力であり、検査時間の短縮をはじめ、より詳細な画像や信頼性の高い機能検査に役立ちます。

所要時間

MAGNETOM SKYLA
おおよその検査時間として
・頭部検査     15~30分
・脊椎検査     20~30分
・腹部検査     30~40分
・その他      おおむね40分以内に終わります。

検査を受ける前に

MRI検査ができない装着金属部品

体内の電子機器部品

ペースメーカー、移植蝸牛刺激装置、

埋め込み型除細動器、神経刺激装置、

骨成長刺激装置、体内にある注入ポンプ
ペースメーカーは死亡例あり当院では、MRI対応ペースメーカーでも禁忌
目など決定臓器に位置する強磁性体の破片

弾丸や鉄片など

脳や内臓、肺縦隔にある場合も禁忌

失明例あり

疑われる場合X線等で確認必要
磁石を使用している
体内器具
磁力で装着する義眼は禁忌 磁石部分が脱着不能な義歯等は禁忌 義歯などが使用不能になる場合あり 本人所持のカード等で確認必要

MRI検査ができない場合があります(主治医による十分な確認と説明が必要)

脳動脈瘤クリップ

種類を確認

MRI検査可能な製品は問題なし
特に注意を要するのはかなり以前に
手術したもの(死亡例あり)
血管内デバイス スワンガンツカテーテルや静脈フィルター等は禁忌 体内で動く可能性有り
妊娠中の方

週数を確認してください

13週より前は禁忌となります
胎児への安全性は未確立であり、検査を行なうにあたっては十分な説明と同意が必要です
入れ墨、アートメイク

電波による火傷の恐れがあります

部位を確認し、まぶたの入れ墨などは禁忌
検査を行なうに当たっては十分な説明と同意が必要です
クリップ、ステント類

材質および手術時期を確認してください

術後8週より前は禁忌となります
磁性体でできているクリップは体内で動く可能性があります
体内避妊具

材質を確認してください

銅を使用しているものは原則検査不可
火傷の可能性有り
検査部位の場合はアーチファクトの出現

 

通常は安全にMRI検査可能であるが、注意が必要である装着金属部品

脳神経外科用部品

使用されているデバイスの確認が必要

ドレーン・プレート等は通常安全です

シャントチューブは磁力で流量調節可能な場合があるので注意が必要です
ただし、特に古い物や他院での手術など使用されているものが不明な場合は十分な確認が必要です
体内固定具 整形外科の人工関節等、強く固定されているものは 安全とされています ただし、特に古い物や他院での手術など使用されているものが不明な場合は十分な確認が必要です
心臓人工弁

手術時期を確認してください

1970年以前のものは禁忌の場合あり
不明な場合はX線等で確認
眼科・耳鼻科系の装着部品 義眼に関しては材質の確認が必要です  
外付けの固定具

固定具の添付文書の確認が必要

MRI対応品のみ検査可能です
3T(テスラ)対応品のみ検査可能です

検査時に外せばよい物

補聴器 吸着、故障する恐れがあります
ニトロダームなどの貼付剤 貼る面が銀色の物は禁忌です(透明なものは検査可能です)
カイロ 敗れると装置が使用不可になるので注意が必要です
マスカラ・アイシャドウ 金属粉使用の場合、発熱・火傷の可能性があります
保温下着(ヒートテック)  発熱、体温上昇の可能性があります
カラーコンタクト 火傷の可能性があります
かつら・ウィッグ

金属部分がある物は火傷の可能性があるので外していただきます

金属のない物はそのまま検査可能です
入れ歯 吸着、画質不良の可能性があります
金属のついて衣類 火傷、画質不良の可能性があります
筋力トレーニング用の重り

吸着し怪我をする可能性があります

吸着すると装置使用不可になるので注意が必要です

 

その他注意が必要なこと

閉所恐怖症 頭部、頸部の検査の場合は圧迫感が強く感じますが、
下腹部より下の場合は比較的圧迫感が少ないです
発刊障害 電波の影響で体温が自上昇する可能性があります

 

検査の実際

当院で行なっている主な検査を紹介します

・頭部
主に急性期の脳梗塞や脳腫瘍などの検査を行ないます。造影剤を使用することなく血管の画像を得ることがで
きます。最新の装置により、より多くの種類の画像を得ることができるようになり、診断に有用な検査が行
えます。

・脊椎
頸椎・胸椎・腰椎など脊椎のMRI検査は、他の検査法に比べ非常に有用で多く行なわれています。腰痛や
手足のしびれ、歩行困難などの原因である椎間板ヘルニアや、脊柱管狭窄症などの描出に優れています。

・腹部
元来、呼吸などの動きのある部位でのMRI検査は、検査時間や動きによる画像の影響などで困難でしたが
装置の進歩により多く行なわれるようになりました。MRCPによる胆管や膵管の評価、造影剤を使用すること
により、肝臓の病変などを診断することができます。3.0テスラ装置の導入により、画質の向上、検査時間
も短縮しました。

・骨盤腔
婦人科疾患である子宮筋腫や内膜症、卵巣腫瘍など、また泌尿器科では前立腺がん、膀胱がんなどの診断
に役立ちます。高精細で情報量の多い検査が可能となっています。

・その他
関節(肩・膝・股関節など)、乳房の検査などをおこなっています。

前立腺
膝関節
脳血管

よくある質問

Q:狭いところが苦手なのですが
A:当院のMRI装置はトンネルの径が広く(70㎝)明るくなっていますので、これまで検査を受けることができなかった方でもご相談ください。もちろん、途中でやめることも可能です。

Q:検査前の食事は影響がありますか?
A:CTの検査と違い、造影剤を使用する場合でも絶食の必要はありません。
ただし、上腹部の検査(MRCPなど)の場合は、絶食・絶飲をお願いすることがあります。

Q:最近、他院でも検査を受けたのですが、大丈夫でしょうか?
A:被ばくがご心配であれば、MRIは放射線は用いない検査ですので、心配はありません。
また、MRI検査自体は、続けて受けても問題はありません。

Q:一度に全身の検査はできないのでしょうか?
A:MRI検査は検査部位に「コイル」と呼ばれる機器を装着して検査を行ないますので、時間の制約などもあり一度に多くの部位を検査することは困難です。