放射線科 RADIOLOGY

放射線科 検査<IVR・血管撮影装置>

概要

循環器撮影室と血管撮影室では、主に血管系IVR検査、治療を行なっています。ここでの血管系IVRとは、造影剤とカテーテルを用いてX線透視下でリアルタイムに確認しながら血管を広げたり(拡張術)、血管を詰めたり(塞栓術)、血栓の回収(除去術)をすることなどを言います。多くは局所麻酔下で行われるため会話をしながら治療を進めることができ、また外科的な手術に比べ入院期間の短縮が期待されます。
緊急時には、くも膜下出血に対する脳動脈瘤塞栓術、超急性期脳梗塞に対する血栓除去術、急性心筋梗塞に対する冠動脈ステント留置術、肝細胞癌破裂や外傷による骨盤内出血に対する経カテーテル的動脈塞栓術などに対応できる体制を整えています。
 血管造影装置はキャノンメディカルシステムズ社製の医用X線循環器診断システムINFX-8000C/Jシリーズを導入しており、検出器に用いているFPD(フラットパネル検出器)は、ひずみがなく対象臓器の形状を正確に描出することができます。さらに脳血管外科領域で必須となっている3D-Road Map(三次元画像上に透視画像を重ねたもの)やCone-Beam CT(血管造影装置を用いてCTに似た画像を撮像)を使用することで、多岐に渡る治療に対応しています。また装置付属の放射線検出器で被ばく線量の管理も可能です。
これらの検査や治療、被ばく管理には診療放射線技師が密接に関わっており、医師が手技に専念できるようサポートを行なっています。

所要時間

検査名 所要時間
脳動脈瘤コイル塞栓術 3~4時間
内頚動脈ステント留置術 2~3時間
心臓カテーテル検査 30分
冠動脈ステント留置術 2~3時間
肝動脈化学塞栓術 1~2時間
シャントPTA 1時間30分

患者様の状態や病変の位置などで所要時間は異なります。

検査を受ける前に

造影剤やアルコールなどの医薬品、金属製の器具を用いますので、アレルギー歴がある場合は事前にお申し出ください。
主に局所麻酔下での施術となりますが、痛みに敏感な場合や治療内容によっては眠った状態で検査、治療を行なう場合があります。
検査内容、治療内容、合併症などを御理解されたで上で、同意書への御署名をお願いする場合があります。
その他、不明な点、質問等ございましたら、事前に医療スタッフにお尋ねください。

検査の実際

・頭部領域
脳血管の診断や治療は脳神経外科医師、脳血管外科医師が行ないます。脳動脈瘤や硬膜動静脈瘻に対しては金属製コイル,脳腫瘍の外科的手術前の栄養血管に対しては微小塞栓物質を用いて塞栓術を行ないます。内頚動脈狭窄症にはバルーン(小さな風船)を用いて血管を拡張し、その径を維持するためにステント(筒状の金属)を留置します。
・循環器領域
心臓の冠動脈や下肢動脈の診断や治療、下大静脈フィルター留置は循環器内科医師が行ないます。心臓カテーテル検査では、治療可否の判断が難しい場合はFFR(冠血流予備比)を利用することで診断の補助を行なっています。冠動脈ステント留置術では狭窄部にステントを留置しますが、IVUS(血管内超音波診断装置)を利用することでより正確な治療を行なうことができます。また肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)予防のために下大静脈に対してフィルターを留置します。
・腹部領域
腹部領域の治療は内科医師と放射線科医師が行ないます。肝動脈化学塞栓術では腫瘍に栄養を供給している血管から抗癌剤を投与し、その血管をゼラチンスポンジやビーズ、コイルなどで塞栓します。外傷や消化管出血での治療でも出血部位を特定し血管を塞栓します。
・透析領域
透析時のシャント閉塞に対するシャントPTA(経皮的血管形成術)は、腎臓内科医師が行ないます。血管狭窄部をバルーンで拡張し、場合によってはステントを留置することがあります。また臨床工学技士も施術に関わることで、医師がより治療に専念できる体制を整えています。

よくある質問

Q:痛みはありますか?
A:局所麻酔を注射するときの痛みや、抗がん剤投与に伴う痛みを感じる場合があります。シャントPTAではバルーンを膨らませるときに痛みを伴います。

Q:検査終了後、すぐに動くことができますか?
A:止血が完了するまで穿刺した部位を動かすことはできません。

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